【第2回】カード決済導入の「満足感」という罠。真のコストを算出しているか?

◆「キャッシュレス化」で未収金は減ったのか?

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近年、多くの医療機関で導入が進んだクレジットカード決済。自動精算機との連動により、窓口の混雑緩和や患者の利便性向上に大きく寄与したことは間違いありません。事務方の皆様も、現金計数の手間が省け、会計業務がスムーズになったことで一定の「達成感」を感じていらっしゃることでしょう。

しかし、ここで冷静に問い直すべきは、「カード決済の導入によって、本来回収不能となるはずだった未収金がどれだけ純減したか」という点です。利便性が上がった一方で、実は病院経営を圧迫する「見えないコスト」が見過ごされているケースが少なくありません。

◆決済手数料という「確実な収益流出」

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カード決済を導入すれば、初期費用や月額固定費そして数パーセントの決済手数料が毎月発生します。数万円から数十万円にのぼる入院費において、この手数料負担は決して無視できる額ではありません。

ここで問題なのは、「本来、現金や振込であれば100%入ってきたはずの層」までがカード決済を利用することで、病院の医業収益が実質的に削られているという事実です。利便性提供の代償として支払う手数料が、未収金削減による回収益を上回ってしまっていないか。この「費用対効果」の検証、いわゆるKPIの設定と効果測定が行われていない病院が驚くほど多いのが実情です。

◆「限度額オーバー」という超えられない壁

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カード決済が未収金対策の決定打になり得ない最大の理由は、入院費の「高額さ」にあります。外来診療であれば数千円で済みますが、入院費は一度に数十万円の請求になることが珍しくありません。

患者が支払いの意思を持ってカードを提示しても、「利用限度額不足」でエラーが出るケースが頻発します。この瞬間、せっかくのキャッシュレス環境は無効化され、結局は事務職員による「振込依頼」や「後日持参の約束」、そして「滞納時の督促」という従来のアナログな苦労へと逆戻りします。カード決済は「払える人の利便性」は高めますが、「払えない、あるいは枠が足りない層」への解決策にはなっていないのです。

便利であるという事だけに囚われてしまうと、デメリットが見えなくなってしまいがちではありますが、そのような部分を常に頭にいれておくことで、デメリットが見えてくるのではないでしょうか?便利な時代とはいいますが、物事には必ずデメリットが生まれてくるものです。この記事をきっかけに少し考えていただけたら幸いです。

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